こんにちは。高橋医院 受付の岡本です。
12月13日は「ビタミンの日」だそうです。
記念日となった理由は何なのか、気になったので調べてみました。
1910年(明治43年)年のこの日、東京化学会(現在は日本化学会と改名)で、農芸化学者 鈴木梅太郎(すずき うめたろう 1874-1943)博士が、米ぬかから抽出した脚気(かっけ)を予防する成分を「オリザニン」と命名したことを発表しました。
その後、オリザニンは1年後に発見されたビタミンB1(チアミン)と同じ物質であることが判明し「ビタミン」と呼ばれるようになります。
このことから2000年(平成12年)9月「ビタミンの日」制定委員会が、12月13日を「ビタミンの日」と制定しました。
「ビタミンの日」にちなんで、きっかけとなった「脚気」という病気についてお伝えしたいと思います。
【脚気とは?】
脚気はビタミン欠乏症の一つで、ビタミンB1の不足によって心不全と末梢神経障害が起きる病気です。
心不全による足のむくみ、神経障害による足のしびれが起きることから「脚気」と呼ばれています。
日本では白米が流行した江戸において疾患が流行したため「江戸患い」という名称がつきました。
大正時代には結核と並ぶ「二大国民病」と言われ、脚気は難病の一つでした。
冒頭で紹介した鈴木博士などの研究によりビタミン不足が原因と判明し、現在は治療が可能です。
しかし当時の医学界において、脚気の原因は伝染病説と中毒説が支持されており、医学界外の鈴木博士が唱える栄養欠乏説はなかなか受け入れられませんでした。
また、天然物質からの抽出に頼っていたビタミンのB1製造が高価格だったこともあり、脚気による死者が1000人を下回ったのは1950年代に入ってからです。
【現代でも、こんな人は脚気に注意!】
糖質の過剰摂取や偏った食生活、ビタミンB1を活発に消費する人は、潜在的にビタミンB1が欠乏する「脚気予備軍」とされています。
脚気予備軍の特徴は下記のとおりです。
《脚気予備軍》
・ インスタント食品中心や野菜不足の食生活をしている
・ 清涼飲料水を多飲する
・ アルコールを大量に摂取する(アルコールの分解過程でビタミンB1を消費)
・ 多忙による不規則な食生活
・ 激しいスポーツをする(疲労回復のためにビタミンB1を消費)
ビタミンB1が不足すると糖質がうまくエネルギーに変換されず、食欲がない・疲れやすい・だるいなどの症状が現れます。
ご自身が脚気予備軍だと思う人は、ビタミンB1の摂取を心がけましょう。
【脚気予防のためにビタミンB1を摂取しよう】
ビタミンB1は米ぬかやレバー・豆類・うなぎ・たらこなどに多く含まれており、豚肉はとくにビタミンB1が豊富です。
日本人が主食とする米のほとんどは精白米で、ビタミンB1が含まれる米ぬかは取り除いています。
米を洗いすぎるとビタミンB1がさらに流れ出るため、洗い過ぎを避け、玄米や麦ごはんの摂取もおすすめです。
ビタミンB1は水に溶けやすく熱に弱い性質もあるので、短時間で調理することがポイント。
ニンニクやネギなどに含まれるアリシンと結合すると熱にも強くなるため、加熱調理はニンニクと一緒にするとビタミンB1を多く摂取できます。
◆【まとめ】
現代人も発症リスクがある脚気の予防には、意識的なビタミンB1の摂取が必要です。
おつまみやサラダに枝豆を加える、おやつにドライマンゴーを食べるなど、ビタミンB1を普段の食事に少し足すだけで効果が期待できます。
ビタミンB1が不足しやすい人は、サプリなどを活用してもよいでしょう。